■モンスター「ヨロウェル」について■



■ヨロウェル

 東の島国、エピドシス。その上空を厚く覆う黒雲が、ブリーダーたちの活躍により晴らされたとき。
 雲に隠されていたその姿は、激戦を潜り抜けたブリーダーたちに新たな衝撃を与えた。

 天をも衝かんとばかりの白亜の巨体は、生物と言うよりも建造物‥‥いや、鉱石や岩石のようなもので出来ているのだろうか、白く染め上げられたその姿は、美術品のようにすら思える。その全高は、遥か遠くからでも一目に判るほど大きい。恐らく、10メートルにも達しようか。
 背にはこれもまた巨大な、翼のような意匠がある。大きく翼を広げたそれは、天使のようにも見える。
 巨人の表情は、読むことが難しい。いや、彫刻のようなその容貌に、表情や感情と言うものがあるのかどうかすらもわからない。

 巨人の力は、凄まじいの一言に尽きる。
 その手に取られた巨人の身長をも超える馬上槍も、極めて重い一撃が繰り出される事が伺える。だがそれ以上に恐るべきは、姿を現した際に巨人が放った光条と地震である。島の北部が切り崩されてしまった程の強烈な攻撃は、ブリーダーやエピドシスの民に、充分過ぎるほどの驚愕と恐怖を与えた事は言うまでもない。

 遠眼鏡による観測や、鳥形エレメントによる偵察を行った結果、驚くべき事が判明した。
 この巨人は、1メートルほど宙に浮き、ゆっくりと滑るように移動していたのだ。その下半身と思しき部分には、車輪のような歯車のような部品が並び、恐らくその力で浮いているのだろうと推測された。
 しかし、巨人の移動速度は人間のそれと大差なく、大きさに比して鈍いようである。いざ戦いとなれば、剣などの武器でも攻撃を加える事は容易、むしろその巨体ゆえに外す方が難しいとすら言えるだろう。
 ただし、その体は金属、あるいは岩石の塊であると見える。ブリーダーたちの攻撃で有効な打撃を与えられるかどうか、極めて難しいと思われる。

 エピドシスの者たちによって、この巨人には「ヨロウェル」という名が与えられた。
 尚、現在ヨロウェルは霊峰アルタミナから移動している様子はなく最初の一撃以降動きを見せていない。


 ヨロウェルの能力などについて寄せられた情報から、研究者達は以下のようにその能力をまとめた。

 まず、ヨロウェルが島を襲った際に使用した攻撃しようした「熱線」と「火柱」についてだが、
 熱線については所持している槍の先から発せられていたと、飛行エレメントを有している物からの情報が上がっている。
 また、火柱については同じく所持している盾を地面に突きつけた後に現れた事から盾が発動の切欠であると思われる。
 ヨロウェルは1メートル程宙に浮いている上体となっているがこれは、
 下半身に取り付けられている車輪が引き起こしている物と思われる。
 車輪を破壊する事により、移動を停止する事が可能となるであろうと考えられているが、
 その形状が周囲を守っているスィールと酷似していることから、
 破壊してもスィールがその代用を行なうことが出来ると思われる。
 ヨロウェルの移動を停止させる為には、周囲のスィールの破壊も求められる。
 そして、ヨロウェルの原動力となっている魔力を体内にめぐらせる働きをしているポイントを
 断ち切ることが出来れば、ヨロウェルの機能を停止させる事が可能となると研究者達は述べた。
 



戻る