●援軍到来・ギルフォード軍参上!
  イギリス国王軍とオクスフォード侯爵軍による激戦の火蓋は切って落とされた。
「ティーズ・ギルフォード(ez1021)以下、ギルフォード筋肉騎士団! 義によって、アーサー王軍に助太刀致しますぞ!」
  続々とイギリス諸侯が駆けつける中、ギルフォード領主である紅茶男爵も冒険者達の説得に応じ、筋肉騎士団を率いての参戦である。男爵自身の戦闘能力は望めないものの、筋肉騎士団の士気は高い。
  援軍の到来に、さらに士気を高めるイギリス国王軍。
  その中には冒険者達の姿もあった。
  いち早く、ギルフォード軍の到来を『バイブレーションセンサー』で察知していたウィザードのアルス・マグナ(ea1736)は、そのまま合流し、偵察役として大きく貢献する事となる。
  ギルフォードの北、ウィンザーでイギリス国王軍本隊と合流したギルフォード軍は、冒険者達と協力する形で、オクスフォード侯爵軍との交戦を開始した。
「努力! 友情! 勝利! 見よ、ウーゼルの心意気♪」
  『オーラエリベイション』と『オーラパワー』を掛け、『チャージング』で突撃を敢行するナイトのレジーナ・フォースター(ea2708)。
「冒険者達に遅れるな! 見よ、筋肉騎士団の肉体美!」
  対抗意識に火がついたのか、ポージングを決めると筋肉騎士団も一斉突撃を開始! 暑苦しいほどに、燃えるような士気で敵兵を圧倒していく!
 そうして、ギルフォード軍はイギリス国王軍本隊の一部隊として、やや南側に展開しつつ進撃。オクスフォード侯爵軍をメイドンヘッドへと追い詰めていったのである。
  横の連携を重視し、筋肉騎士団と共に波状攻撃を仕掛けるファイターのアレクサンドル・リュース(eb1600)。敵軍に体勢の立て直しの機会を与えず一気に押し切る作戦である。
(「異国の冒険者以上の働きで、イギリス騎士の誇りを示す必要がある!」)
  その思いを胸に、敵陣に切り込むイギリス王国のナイト、シアン・アズベルト(ea3438)。重装備の防御力を活かし、『デッドorアライブ』や『カウンターアタック』を駆使する彼を止めることが出来ず、混乱を来す敵軍。
「これ以上の悲劇を防ぐ‥‥それが私の願い」
  更に、レンジャーのイフェリア・エルトランス(ea5592)が、騎馬に乗った上級騎士や伝令兵を『シューティングPAEX』で狙撃。指揮系統を絶った事によって、敵軍に更なる混乱が広がっていく。
「諸君、もう一息だ!」
  慣れぬ戦場に、疲労のうかがえる紅茶男爵だが、筋肉騎士団と冒険者達を励まし、補佐を受けつつも陣頭指揮を全うする。
  やがて、正面の敵部隊を撃ち破ったギルフォード軍と冒険者達は、後退を始めたオクスフォード侯爵軍の南側から包囲を固め、敵のしんがり部隊を攻撃。
  イギリス国王軍の勝利に、大きな貢献を果たしたのだった。

(担当:紅茶えす)

 ●追撃!
     キャメロットの西に位置し、なだらかな平野と蛇行したテムズ川が流れるメイドンヘッド。そこが今回の戦いの戦場となっていた。
  続々とイギリス諸侯が参戦する中、ケンブリッジからは援軍を派遣できないとの報告が入る。
「ケンブリッジでも何かが起こっているというのか。我がイギリス国内で、こうも立て続けに‥‥!」
  愛する我が国を憂えているのは、イギリス国王アーサー・ペンドラゴン(ez0005)に他ならない。
  だが、彼の元に次々と舞い込む、作戦成功の報告。これらの積み重ねによって、オクスフォード侯爵軍は劣勢に陥り、後退を開始。しんがり部隊を編成しての起死回生を狙っていた。
「進め、勇敢なる同胞達よ! イギリスに戦乱を呼んだオクスフォード侯の罪は重い! 今こそ完膚無きまでに叩きつぶす時だ!」
  アーサー王が追撃の号令を発する!
  本隊を守るように立ちはだかるしんがり部隊に、円卓の騎士達が攻撃をかける!
  そんな中、勢いに乗るイギリス国王軍の一翼として、冒険者達の姿もあった。
「ともかく、全力を尽くそう」
  敵軍の小隊長を見極め、『シューティングPA』で狙い撃ちにしていくのは、レンジャーのアリオス・エルスリード(ea0439)。
「デストロイ!」
  同じく、自慢の目で敵軍の小隊長を探し当て、自慢の長弓「鳴弦の弓」で狙い撃つレンジャーのジョセフィーヌ・マッケンジー(ea1753)。
  彼らの正確無比な射撃によって、小隊長を失った敵部隊は統制が乱れ、イギリス国王軍の進撃を止める事ができない。
  そこへ『オーラボディ』を身に纏い、『デッドorアライブ』を駆使して敵陣深く切り込んでいくのは、武道家の風月皇鬼(ea0023)。その突撃を阻止せんと敵兵が群がるが、どれも致命傷には至らない!
「小細工は不要、正面から叩き潰すのみ!」
  重装備に身を包み、一歩一歩前進してくるファイターのトール・ウッド(ea1919)。その歩みを止められる者はいない。下手に手を出そうものならば、『デッドorアライブ+カウンターアタック+スマッシュEX』によって、逆に倒されてしまうのだ!
「黄泉路への旅立ちをご案内仕る!」
  次々に敵兵を斬り潰し、ひたすら前に進んでいく浪人の夜十字信人(ea3094)。彼の通った後には、正に斬り潰されたと表現すべき敵兵の骸が転がるのみである。
「MOONRISEの一員として!」
  人々の笑顔を守るため、戦場の身を投じるナイトのクリス・シュナイツァー(ea0966)。
「何としても持ちこたえるのだ!」
  しんがり部隊の将軍が檄を飛ばし、鼓舞するがイギリス国王軍の勢いは止まらない!
  そこへ、レンジャーのリィ・フェイラン(ea9093)が放った『シューティングPAEX』が将軍へと突き刺さる!
  狙うは将軍の首のみと、突撃を敢行するファイターのアルフェール・オルレイド(ea7522)!
  彼らに続けと押し寄せるイギリス国王軍。しんがり部隊を打ち破り、オクスフォード侯爵の本陣へと迫る!

(担当:紅茶えす)
 ●防衛!
    その一方では、アンデッドの軍勢は止まることを知らず、キャメロットに迫っていた。
「戦場へと赴いた者達の家族と、彼らの帰る場所を守る事も大切な役目です」
  留守居役としてキャメロット防衛を任されたのは、湖の騎士と名高いラーンス・ロット(ez0006)である。
  キャメロット東に位置するダートフォード・グレイズ・ノースフリート間。テムズ川の河口近くの町村を守るように防衛線を展開。河や山の中から現れるアンデッドに対し、冒険者達と防衛隊は協力しながら戦っていた。
「決めるよ」
  『シューティングPA』で射撃するレンジャーのインシグニア・ゾーンブルグ(ea0280)。
  同じく、レンジャーのリート・ユヴェール(ea0497)も弓による遠距離攻撃で味方を援護している。
  これまでの依頼の経験を活かし、弓の中でも「鳴弦の弓」を使う冒険者達も多く参戦していた事から、対アンデッドの戦術を取る事ができていた。
  その効果で、動きの鈍った敵に必殺の『スマッシュEX+ソードボンバー』を叩き込んでいるのは、ナイトのレイムス・ドレイク(eb2277)。
  『レジストデビル』でアンデッドに対する防御力を強化し、後衛部隊の盾となって戦う神聖騎士アリオス・セディオン(ea4909)。
  それでもなお、各々の力で敵に勝る冒険者達に対し、疲れ知らずのアンデッド軍団は数で押してくる。
「悪魔の軍勢に、キャメロットは渡さないッスよ!」
  立派な騎士を目指すナイトのフルーレ・フルフラット(eb1182)。
  得意の回避術でズゥンビどもを寄せ付けず、ひたすら日本刀「霞刀」で斬り続けるファイターのリオン・ラーディナス(ea1458)。特に、仲間を襲おうとしている敵を見かけたら、すぐさま援護に向かうというスタイルを貫いている。
  敵のほとんどはズゥンビ系だが、中にはスカルウォリアーやレイスもいるようだ。
  ズゥンビの群れに切り込み『スマッシュEX』と『カウンターアタック』を駆使して、一体一体を確実に仕留めていくファイターのミュール・マードリック(ea9285)。
「徒党を組むのは好きではないからな‥‥。だが、振りかかる火の粉は払おう」
  同じく、単独で切り込んでいく浪人の七織崋山(eb1359)。
  彼らの活躍によって、半日の戦闘で雑魚クラスのアンデッド1/3を壊滅させるという戦果を挙げていた。

(担当:紅茶えす)

●命運
  「それでも、よいだと‥‥そんなわけがあるか?」
  昨夜、自らの目の前に傅いていた伝令の言葉を思い出し、オクスフォード侯爵メレアガンスは馬上で小さくつぶやいた。
  自らの領土への退却の途上。周りの兵たちは憔悴しておリ、不平の声も囁かれているように聞こえる。
  彼の目的の一つ、イギリス王国の玉座への挑戦は、この敗走にてわかる通り、潰えようとしていた。
  アーサーの黒き噂を煽り立てれば、野心あるものたちが集まり、国王の軍を圧倒できる。だがその予想を覆すかのように集まった冒険者たちにより、戦いの流れはあっさりとひっくり返されてしまったのだ。
  そして、メレアガンスのもう一つの目的。
「‥‥グィネヴィア様‥‥その御手を、私には差し伸べてくださらないのですね。あの男には、差し伸べるというのに」
  暗き色の瞳をもって、メレアガンスはその心中を露わにする。
  オクスフォード侯のもう一つの目的。それは王妃グィネヴィアをその手に抱くことであった。それはイギリス王国に動揺をもたらすためだけではなく、男が抱える禁断の愛ゆえに、でもある。
  だがそれも、冒険者たちの手によりやはり閉ざされてしまったのだ。

(「そのような清きお方が、黒き噂のある者と結ばれることは許すべきではないでしょう?」)

 そう、その言葉を聞いて、モルゴースと手を組んだのだ。だが結局、戦いは敗北となった。
「いや、まだ私は負けていない。オクスフォードにはモルゴースとその手勢が残っている。我が親族も、この危機に必ずオクスフォードに馳せ参じることだろう。そうすれば、ロット侯のお力も借りて、アーサーなど!」

 ‥‥だが、その希望は甘い夢であったことを示す戦いの喧騒が、彼のすぐそばにまで近寄ってきていた‥‥。

(担当:高石英務)
 ●襲撃
 会戦の声が聞こえる。
  剣の響き、鋼と血の匂いがここまで感じられそうだ。
「いよいよ、始まったようだな」
  冒険者と部下の命を預かる為か、パーシ・ヴァル(ez0091)の表情は硬い。
「この先にオクスフォード侯の本隊がいます。お気をつけて!」
  先行し偵察していたアレクセイ・スフィエトロフ(ea8745)の声がさらなる緊張を部隊に与えた。
  やがて彼らの前にも見えてくる。
  木々の向こうに敵の本陣が。このままオクスフォードに下がらせはしない。
「行くぞ! 突撃!」
  潜めていた息がパーシ・ヴァルの号令と槍の輝きに解き放たれる。
  勇気と力が波となって一気に敵に襲い掛かった。

 数の上でも全体からの状況から見ても、侯爵軍の不利は誰の眼にも明らかだった。
  無論、侯爵本人にもそれは解っていたから、密かに本陣をたたみ退却の徒に付く。
「万が一の為に、殿の部隊が残してある。合流しオクスフォードに戻ればまだ、再戦の目が‥‥」
  そんな意図は、思いもかけぬ方向から崩れ出した。
「敵の‥‥奇襲です!」
「なに!?」
  殿が守っているはずの、本陣のまったくの後方からその一軍は現れた。
  決してその数は多くは無かった。冷静に対処すればおそらくは打ち破れたかもしれない。
  だが完全に警戒を解いていた方向からの襲撃に、本陣はその一撃にパニックを起こし列を崩した蟻の如く乱れていた。
「私の前に立たないほうがいい、死にたくなければ帰りなさい!」
  その言葉どおりファング・ダイモス(ea7482)の前に立ちふさがった不幸な兵士達は次々に切り倒されて血の道を作っていく。
  彼の力と技の前に立ち続けていられた者はいない。
  混乱に乗じ騎馬で特攻するレーヴェ・フェァリーレン(ea3519)。だが、それを狙う魔法使いがいた。
「危ないよ! 気をつけて!」
  アシュレー・ウォルサム(ea0244)の弓の一矢は狙い違わず紡ぎ出されようとした魔法を永遠に空に還す。
「感謝する!」
  振り上げたランスを再び打ち下ろしレーヴェは笑顔を向けた。
  レーヴェのランスも、アシュレーの矢もまだ止まる事を知らない。
 
  血に染まった刃を振り黒畑緑朗(ea6426)は前を見る。遠く、前を。だが目線の先に侯爵の姿はまだ見えない。
「必ず打ち倒す。極めれば切れぬ者は無し!」
  小さく笑って緋邑嵐天丸(ea0861)は緑朗と背を合わせた。
  彼の背後に迫っていた敵を、彼に告げず倒してナイフを握りなおす。
「前を切り崩す。行くぜ!」
  二人は息を合わせて、敵に向けて強く踏み込んだ。

「おらおら! 死神が迎えに来たぜ!」
「義妹の笑顔と人々の為、戦の禍根はここで断つ!」
  側面からかけられたレイリー・ロンド(ea3982)とアリアス・サーレク(ea2699)の攻撃は敵の力を明確に削いでいった。
  陣は崩壊寸前と呼べるほど崩れている。
  あちらこちらで仕掛けられた罠も効果を発して敵を削り、走る稲妻、いくつもの魔法は春雷の如く平原を駆け抜け敵を打ち倒していった。
「あれは!」
  今まで見えることの無かった敵の姿が薄れていく陣の向こうに、レイリーの瞳だけでなく多くの戦士たちの目に確かに見え始めた。
「逃がすものか!」
  ケヴィン・グレイヴ(ea8773)の全力の一矢が崩れた本陣の奥の奥まで突き抜けていく。
  足元に刺さった矢に侯爵は自分に迫ってくる運命の地響きを聞いていた。
「お、おのれ!」
  自らに死を告げる死神が雷となって近づいてくる。
「メレアガンス侯。覚悟!」
  常に戦いの先陣にあったパーシ・ヴァルの槍が迫った時だ。
「早く、お逃げ下さい!」
  彼の側近達が命を賭けて立ちはだかった。
  死兵となった彼らの決死の一撃が、パーシ・ヴァルを押し留める。
  一騎、二騎、三騎までは彼の槍の下に倒れるが四騎目の剣は彼の射程を踏み越え喉笛に迫る。
「危ない!」
  立ちはだかるようにリ・ル(ea3888)は兵に向かっていった。彼の攻撃によって作られた隙がパーシの槍の下、生者と死者になる者を逆転させる。
「冒険者を見限られては困るからな」
  軽く肩から血を流しながらも指を立てる彼にパーシ・ヴァルもまた同じ動作で答える。
  侯爵の姿は混乱の彼方に消えたがまだ、戦いは終っていない。
  彼らはお互いの背中を守りあい、また戦場に足を戻していった。血飛沫の舞う戦いの中へ。

 どれほど戦い、どれほど血が流れ、どれほど経った時だろうか。
  大地が‥‥揺れた。
  それが歓声だと気付くまで前線の冒険者達には時間と戦いが必要だったが、やがてそれも終った。
「メレアガンス侯捕縛!」
「アーサー王の勝利だ!」
  切り結ばれていた刃は引かれ、大地に剣が突き刺さっていく。
「勝ったのですね。私達は‥‥」
  空を見上げたファングの瞳には眩しいまでの青空と輝くアーサー王の王旗が翻っていた。

(担当:夢村円)

  ●奮戦
 「騎馬隊、もっと前に出て殿の足を止めろっ!」
  戦場の只中、その後方において支援を行う部隊が中で小規模ながらも一角を担うのはアシュド・フォレクシー(ez1010)その人で、己の部隊を駆っては後退して行く敵陣中枢へアーサー王が指揮を執る本隊を導こうと兵達へ指示を下す。
「‥‥っ、しかしこうも上手く行かないものとはな」
「相変わらずとろくせぇ事してんな」
「お前‥‥アルフォンス、だったか?」
「兄さん、次は?」
  が士気こそ高いがどうにも上手く兵達を動かす事が出来ず一つ舌打ちすればその矢先、彼の背後からアルフォンス・シェーンダーク(ea7044)とハーヴェイ・シェーンダーク(ea7059)ら、兄弟の声が聞こえた事に驚くアシュド。
「あっち、だなっ! つう訳で久々だが悠長に挨拶している暇なんかねぇ、が狙うなら‥‥あの辺りがいいと思うぜ。じゃあ運があればまた会おう、精々頑張れよ」
  言葉と同時に放たれるディストロイで道を示し、弟も弓を引き絞り精度を高めてそれと同じ方角へ矢を放つのを確認すれば、彼らしい激励を残すと弟を伴い次なる敵を狩りに動く。
「騎馬隊、右面へ集中して防壁を。魔法部隊はその逆に左側面の敵を薙ぎ払って下さい」
「おいっ!」
「‥‥彼らが言う通り、のんびりしている余裕なんかありませんよ。冒険者の方々が独自で編成した弓兵の部隊も本格的に動き出していますし、その動きに合わせて私達も挟撃の形を取らないと」
  その背中を見送っていると、不意に自部隊へ響く命令に慌てそれを出した参謀のルルイエへ叫んだが、確かに彼女の言う通り冒険者が中心となっている弓兵部隊が行動を開始していた。
  その中でも一際目立った活躍をしていたのは
「え、ええっと〜」
「腕を組む前に矢を放って下さいね‥‥今ですっ!」
  敵部隊の側面に拙い腕ながらも戦場の混乱に乗じて辺りの地形へ潜伏し、隙を見て一斉射撃でそれを穿ち崩せば周囲へ的確な指示を出すレジエル・グラープソン(ea2731)とレイエス・サーク(eb1811)の二人に
「これ以上、無駄な抵抗を止める事を勧める」
  彼らとは別な部隊長を一矢で射抜き、内心では自身の腕に驚きながらも早々に淡々とした調子で降伏勧告をするエリック・シアラー(eb1715)の姿とそして
「わわっ、悪い子だらけだぁ〜!」
  彼らとは違い単独で動いているのだろう、軽い調子とは裏腹に敵部隊の後方へ回り込み掻き乱す‥‥戦場にいるのはどうにも場違いな気がする童顔の持ち主、チップ・エイオータ(ea0061)らの姿が目に留まりアシュドは僅かその活躍に魅入られるも
「‥‥だからそんな余裕、ありません。早く兵達に指示を」
「あぁ、分かっているっ! ‥‥全く、適わんな」
  やがて参謀はいつもの様に呆れながら彼の耳を引っ張り、そう促したが
「ちっ!」
  その時、先のやり取りの間だろう‥‥懐にまで敵兵が一人に飛び込まれている事にアシュドが気付いたのは。
  彼は慌てナイフを抜き、ルルイエも魔法の詠唱を始めたが相手の方が早い。
「アシュドさんっ!」
  癪だったが覚悟を決めるもその斬撃より早く、ルルイエとは違う聞き覚えのある声と耳打つ雷鳴に似た音が響いた直後、敵兵はその場で崩れる。
「シェリルか‥‥すまん、助かった」
「いえいえ〜、偶然とは言えアシュドさんの手助けが出来て良かったです♪ くれぐれも気を付けて下さいね〜」
  そして振り返るなりアシュドの窮地を救ったシェリル・シンクレア(ea7263)へ礼だけ述べると、彼女もまた返事をしてから敵陣へ更なる混乱をもたらす為にもう今日何度目かのライトニングサンダーボルトを放てば
「‥‥どうもあんたの近くにいると調子が狂う」
「そうですか? その割りにほら、また当たったじゃないですか」
  押し気味な自軍の戦況に乗る形で臆せず前へ出て射掛けるグイド・トゥルバスティ(eb1224)の嘆息を気にもせず、その隣で笑顔を浮かべながらリーン・パルト(ea8931)は彼が転倒させた敵兵へ追撃にと、鎧の隙間に見える首元を狙って矢を放てばそれを命中させてその命を摘み取る。
「よく、やる」
  そんな冒険者達の奮戦にアシュドは舌を巻くも自身も負けていられないと奮い立てば、冷静に状況を確認してから己が兵達へ右腕を振るい、檄を飛ばした。
「冒険者達に負けるなよ! 敵陣の中央が僅か、崩れかけている‥‥今の内にもっとラインを押し上げろ。前を進む部隊の道を切り開けっ!」

 そして、それから半日程の時間が過ぎメレアガンス捕縛の報が後方にまで届けば戦いが終わった事を知ってアシュドは安堵の余り、その場にへたり込む‥‥も不意に視線の先にいるフレイア・ヴォルフ(ea6557)と目が合うと、彼女は彼の様子を察して手を掲げると、艶やかな笑顔を浮かべその口を開いた。
「お疲れ、だったな」

(担当:蘇芳防斗)

 ●強襲!
 「オクスフォード侯爵メレアガンスのいる本陣は目前です!」
  冒険者ギルドのお目付け役という形で同行する近衛騎士アン・ペンドラゴン(ez0126)と共に、オクスフォード侯爵軍本陣の強襲を敢行したのは冒険者ギルドのメンバーであった。
「まだまだヒヨッコどもには負けぬ」
  騎馬隊として先陣を切るのは、ナイトのシャルグ・ザーン(ea0827)。『オーラエリベイション』で自らの士気を高め、敵部隊の脆い部分から『チャージング』で突撃を敢行する!
  ナイトのグレイ・ドレイク(eb0884)もまた、騎兵の機動力を活かして回り込み、『スマッシュ』で道を切り開いていく!
「モルゴース様をお持ち帰りだ〜」
  煩悩パワー炸裂、敵陣の強行突破を試みるファイターのヲーク・シン(ea5984)。しかし、彼はまだ知らない。裏で糸を引くモルゴースは戦場に出てきていない事を‥‥。
「夜駆守護兵団所属『荒れ狂う旋風』の刃‥‥受けてみるかい?」
  再三の強襲で敵の士気減退を更に加速させてきたファイターのアーウィン・ラグレス(ea0780)。この本陣強襲で決着をつけたいところである。
  『ホーリー』による魔法攻撃、そして『ホーリーフィールド』を張っての『チャージング』と怯む事無く果敢に攻め込む神聖騎士ユイス・イリュシオン(ea9356)。その姿は『勝利の女神』の如く、仲間達を鼓舞する。
  冒険者有志の独立弓兵隊として、この強襲を援護するレンジャーのアリシア・シャーウッド(ea2194)。斥候として、敵部隊の詳細な情報を持ち帰った彼女の功績は大きい。
「次の獲物は何だ?」
  次々に敵兵を切り崩していくファイターのフィアー・ロンド(ea6099)。腕の立つ敵兵は、『一対一ならほぼ無敵』と豪語する彼の元へと回され、得意の盾受けからの『カウンターアタック』によって葬られていった。
  そして、また一人、敵兵を『スマッシュ』で切り倒したファイターのデルスウ・コユコン(eb1758)が、敵の防衛線を突破する!
「良く粘ったな。だが、ここらで幕にしようぜ!」
  ついに、オクスフォード侯爵メレアガンスの目前へと迫る浪人の陸奥勇人(ea3329)!
  直後、イギリス国王軍本隊もオクスフォード侯爵軍本陣へと雪崩れ込み、メレアガンスは捕縛されたのだった。

(担当:紅茶えす)

 ●テムズ川河口の攻防!
 
  戦場となるは、キャメロットの東、ダートフォード・グレイズ・ノースフリート間。そこでは、せまりくるアンデッド軍から、住民を守るため、ラーンス・ロット(ez0006)の指示により、次々と避難させている。マグナ・アドミラル(ea4868)が、道返の石を発動させていた。
「敵影確認! 数、500!」
  最前線情報収集に赴いていたジュエル・ハンター(ea3690)が、アンデッドの群れを発見し、そう報告してくる。報告を聞いたカンタベリー評議会議長ギルバード・ヨシュア(ez1014)は、かねてよりフローラ・タナー(ea1060)をはじめとする冒険者の間から提案されていた『対A作戦』を実行に移す決断をする。
「フォーメーションは、作戦室で打ち合わせした通りだ。接敵次第、Vフォーメーション展開。遠慮は要らぬ。存分にその力を振るうが良い!」
  カンタベリー評議会を中心とする防衛隊と冒険者、6名1組と1小隊とするフォーメーションである。議長の命令に、チェルシー・ファリュウ(eb1155)と武楼軒玖羅牟(eb2322)を含め、前衛を任された16人が、突撃して行った。
「おりゃああ。いくぜぇぇぇ!」
  オーラエリベイションで気合を入れたドナン・ラスキン(eb3249)が、オーラパワーを付与したクレイモアを振り下ろしている。
「おっさんにはまけてらんねーな。テコンドウの奥義を食らいやがれ!」
  対抗するように、やはりオーラパワーを付与した巴渓(ea0167)が、目の前のズゥンビに、ストライクを叩きこんだ。それだけでは不十分だと思ったのか、隙を見て、ストライクEXを叩きこんだ。しかし、調子に乗ってやりすぎた為、慌てて手持ちのポーションで回復するはめになる。
「劉、ついて来い!」「わぅ!」
  そんな中、マント犬の劉と共に、戦場へと躍り出る李斎(ea3415)。スケルトンからの攻撃を、ライトシールドで受け止めた彼女は、威力の大きなウォーアクスを使い、カウンターアタックで、確実に大ダメージを与えて行く。
「くっ。こうも人数が多くては、な‥‥」
  しかし、それでも相手はそう簡単には減らない。斬馬刀を振り回すマグナ、カウンターアタックと、スマッシュで戦うものの、ズゥンビは倒しても倒しても現れる。
「ああもう、次から次へと!魔法が間に合わないじゃない! きゃあっ」
  他の冒険者達と同じ様に、オーラパワーを付与して、スマッシュを撃ち込んでいたミラ・ダイモス(eb2064)、効果がきれて、後ろに下がる。そこへ、スケルトンが彼女を餌食にしようと、襲いかかった。
「させません! 白騎士の名にかけて!」
  ピンチを救ったのは、白い軍馬で駆けつけたフローラ。彼女の馬に蹴りこまれ、形をなくすスケルトン。
「大丈夫ですか?」
「ええ、助かったわ」
  馬から下りて、彼女にリカバーを施すフローラ嬢。
「ここで後ろに下がるわけには行きません! 踏ん張り所です!」
  その間、ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ea7050)が、相手の攻撃をヘビーシールドで受け止めながら、そう叫んだ。ここで負けるわけには行かないと、カウンターアタックとスマッシュをお見舞いする。
「雑魚は任せてもらおう! 依頼で下級とは戦い慣れている!」
  セオフィラス・ディラック(ea7528)が、太刀でチャージングをしながら、そう叫ぶ。
「頭数、減らさねぇとな!」
  後詰めの前衛にいたアラン・ハリファックス(ea4295)も、オフシフトで、スケルトンの攻撃を避けながら、斬馬刀を振り下ろした。
  そんな光景があちこちで繰り広げられ、冒険者たちと防衛隊は協力しながら、アンデッドを撃破していく。戦闘は一進一退。しかし、これまでの依頼の経験を生かし、対アンデッドの戦術を取る防衛隊の手により、戦線は徐々に押し返されていった。
  と、そこへ。本隊からの報告がはいる。オクスフォード侯の本陣が、陥落したそうだった。議長が「そうか、わかった」と、頷いた直後、斥候のジュエルから、再び報告が入る。
「上級アンデッドらしき者達を見つけました。ですが、既に撤退準備を始めているそうです」
  どうやら、相手の陣地にも、本陣陥落が伝わっているらしい。ゴルロイスの軍勢も今回は利なしと見て取ったのだろうか。
「議長、どうします?」
「‥‥退け、フローラ」
  決断を迫られた議長は、しばらく考えた後、きっぱりとこう言った。
「確かに流れは我等にある。だが、上級アンデッドはまだ無傷に近い。この状況で仕掛ければ、手痛いしっぺ返しを食らう。一度、キャメロットに戻れ」
「‥‥わかりました」
  慎重な議長の判断に、頷くフローラ。ほどなくして、偵察達の手により、撤収命令が伝えられる。
  こうして、キャメロット防衛は、勝利を収める事が出来た。
  だが、メレアガンスの裏で糸を引いていたモルゴースとロット、それにゴルロイス本人はいまだ健在である‥‥。

(担当:姫野里美)

  ●危惧‥‥?
 キャメロットの防衛部隊にも『オクスフォード侯爵軍本陣が陥落し、メレアガンスが捕縛された』との情報が伝わり、防衛隊と冒険者達の士気は更に高まる事となる。
  ややして、ゴルロイスの軍勢も今回は利なしと見て取ったか、ゆっくりと退却を開始したのだった。
  キャメロット防衛を果たしたラーンスは、もうひとつ、気になっていた事を考えていた。
  グィネヴィア王妃誘拐未遂事件には裏があるかも知れない事を。
「もしや、王妃誘拐は囮‥‥本命は聖杯に関する資料の奪取なのか‥‥?」
  彼はひとつの仮説を立てた。その通りならば、今後もより一層、警備を厳重にせねばならない。聖杯はイギリスの命運を握る鍵なのだから‥‥。
  こうして、戦いはイギリス国王軍の勝利に終わったが、メレアガンスの裏で糸を引いていたモルゴースとロット、それにゴルロイス本人はいまだ健在なのである‥‥。

(担当:紅茶えす)


 
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