──イギリスの王都キャメロットに鎮座する、名誉ある騎士たちの座、円卓。
それに集いしは騎士の中の騎士との誉れも高い、勇敢なる円卓の騎士。
その栄光の場に、今、神の祝福が姿を現していた。
‥‥それこそが『聖杯』‥‥

 神聖暦1000年のイースター‥‥偉大なるジーザスの復活祭の日、キャメロットの円卓の間において、一つの奇跡が再現されました。
 それこそが伝説の『聖杯』の予言。
 救世主ジーザスの死の時、その流れ出る血を受け、この世でもっとも偉大な力を得たという祭器。
 ただの伝説と思われたその宝物が、円卓の間に預言と共に幻の姿を見せたのです。

──乱れた世に、神の王国の降臨を。聖杯はその世界へ至る、神の勇者に見出されることを望む──

 この大魔術師マーリンの言葉に従い、円卓の騎士とイギリスの人々の手による、聖杯探索が始まりました‥‥。


■聖杯とは?

 『聖杯』とは、ジーザスが命を奪われた際、その血を受け止めたという伝説の杯です。
 聖者の血を受けたその杯は、世界を揺るがすほどの魔力を帯びたと伝えられています。
 その後、聖杯の得た力が世界の均衡を崩すことを危惧したある聖人の手により、聖杯はイギリスに封じられたと伝えられていました。
 聖杯が現れるとき神の国への道が開けるとされていますが、聖杯を手にすることが出来るのは、真なる神の勇者のみとされています。


■聖杯探索の始まり

−ドーチェスター・メイドンカースル−

   円卓に成された聖杯の預言が指し示したのは、キャメロットよりはるか西方に位置する『ドーチェスター』でした。その地にある『メイドンカースル』と呼ばれる遺跡に、聖杯探索への道と鍵が眠っているというのです。
 そして、その預言と相前後して、ドーチェスターの周囲にアンデッドが出没し、人々を襲うという事件が起こりました。
 このことを受けて遺跡に向かった円卓の騎士と冒険者たちは、戦いと探索の末、いくつもの事実を知ります。

 メイドンカースルで一同を待っていたのは、古びた遺跡と、そこに居を構えていた一体のアンデッドでした。
 そのアンデッドの名はコーンウォール公ゴルロイス。生前はアーサー王の父であるウーゼル・ペンドラゴンに勝るとも劣らないと噂されていた騎士でした。
 しかし、歴史が語るところによれば、親友であったはずのウーゼルとゴルロイスはいつしかいがみ合い、イギリス王国統一の戦いにおいて剣を交えることとなります。その戦いの果てにゴルロイスは討ち果たされ、ウーゼルがイギリスの統一を果たしたのです。
 これまでは「両雄並び立たず」「親友のためにあえて敵となり反乱をまとめた」と歴史家の間で評されていた二人の戦いでしたが、ゴルロイスの復活とともにその真の理由が明かされることになります。
 二人が対立するようになった本当の理由は、ゴルロイスの妻イグレーヌへの、ウーゼルの横恋慕であり、それに当然応じぬゴルロイスを力で討ち果たすべく、戦いが引き起こされたのだというのです。
 そして戦いの果て、ゴルロイスが敗れたのち、マーリンの導きによりイグレーヌとウーゼルの間に生まれた子が、現イギリス国王アーサーであるという真実。
 アーサーの父・ウーゼルの名誉ある騎士とは思えぬ罪と、その不義の子が今の国王アーサーであるという事実は、その玉座を狙う敵だけではなく、アーサーへ忠誠を誓う諸侯やイギリス王国の人々の心を震撼させました。

 過去の戦いでウーゼルに敗れたゴルロイスは、その妄執と運命の悪戯により不死者と化し、メイドンカースルの地の聖杯の遺跡で、眠りにつくことになりました。
 その眠りより数十年。聖杯の預言と探索の始まりに伴い、封印を解かれた彼は、かつての憎き裏切り者ウーゼルの息子・アーサーと、彼の築いた王国へと復讐の牙を向けることになったのです。
 止めようとする冒険者たちを一蹴した怒れる騎士は、配下の亡霊騎士たちとともに、メイドンカースルより姿を消し、いずこかで復讐の刃を突きたて王国をうち滅ぼす機会をうかがっていると噂されています。

 この不死者たちとの戦いが繰り広げられる裏、聖杯への道を探しての遺跡探索により、聖杯に関して記されたと見られる石板やスクロールなどの資料が、いくつかキャメロットへと持ちかえられました。
 しかし回収された資料も一部が欠けていたり、年月により古びてぼろぼろであったりと解読は困難です。また突如現れたデビルによりいくつかの資料が破壊されたという話もあり、資料全体の調査は難航しています。

 メイドンカースルでの戦い、ゴルロイスの復活と進撃に加え、見え隠れするデビルの影と明かされた王国の不義の罪。
 神の国へと到達するという聖杯の探索の先と、イギリスの未来は、いまだ暗雲に包まれています。  


■聖杯戦争

−オクスフォード侯メレアガンスの挑戦−

   この事実と聖杯探索に伴う混乱に乗じ、各地の貴族が動き出しました。その一人がオクスフォード侯爵メレアガンスです。
 メレアガンスはメイドンカースルの事実を聞いた後、ウーゼルの不実を元にアーサーは偽の王であると声高に言い立て玉座への挑戦を宣言し、それに同意する近隣諸侯も次々とメレアガンスの元に集っています。
 しかし、この動きは彼一人のものではありません。噂では有力な諸侯の一人ロット=オークニーと、その妻でありゴルロイスの娘でもあるモルゴースが、メレアガンスに協力し各地で暗躍しているとの噂が囁かれています。
 かくして、メレアガンスの挑戦と、それとともに巻き起こる戦いの気配が、イギリスに色濃い影を落とし始めました。

 オクスフォード侯爵の挑戦後に行なわれた交渉により、ギルフォード男爵ティーズ・ギルフォード(ez1021)と筋肉騎士団がギルフォードより、ラスカリタ伯爵ウィタエンジェ・ラスカリタがバースより、アーサーの陣に参戦することとなりました。またフォレクシー家のアシュド・フォレクシー(ez1010)も手勢を率いて参戦しています。
 ギルバート・ヨシュア(ez1014)を議長とするカンタベリー織物評議会は、キャメロット東部にて動きを見せたゴルロイス公に対するためか、現在目立った動きを見せていません。
 円卓の騎士もキャメロット周辺にいた者たちはそれぞれ、参戦を決定している模様で、冒険者たちの活躍もあってか、全体に意気は高くなっています。ただしチェスター公爵リチャードと黒騎士ウィルフレッドは、北方にてロット侯の軍勢に牽制を行なっているとの噂で、今回の戦いには参戦していません。
 一方オクスフォード侯爵陣営の意気は高く、兵の総数は互角と見られています。オクスフォードに集結した侯爵とその協力者はキャメロットに向けて南下を開始しており、主戦場はウィンザーと目されています。

 戦いの前の偵察や交渉以外に、グィネヴィア王妃誘拐未遂事件が起こっています。この賊との攻防により、王妃の影武者が負傷するといった事態に陥りましたが、戦いのために集まっていた警備の兵や有志の冒険者の手により、誘拐は未遂で防がれました。主犯はオクスフォード侯爵陣営と考えられていますが、その目的は不明です。
 その他、円卓の騎士に直接、離反を進める工作が行われたという話もありますが、その真否は定かではありません。


イギリス王国国王
 
アーサー・ペンドラゴン(ez0005)
[人間・男・30才]
 イギリス王国国王。イギリス統一王ウーゼル・ペンドラゴンの息子で、マーリンの導きに従い父の偉業を引き継ぎ、円卓の騎士たちとともに王国をよく統治しています。
 円卓に下された預言に従い聖杯を探し出し、王国が一丸となってに忍び寄る闇の気配に対するべきと考えており、今回の反乱は自らの断固たる態度を明らかにし、いち早く収束させるべきだとして、各勢力に協力を呼びかけました。
 一方で父ウーゼルの行動とそれに伴う様々な混乱に、いかにして対するべきか、その心中を悩ませていると噂されています。
オークニー侯爵夫人
 
モルゴース・オークニー

[人間・女・?]
 北方の有力な諸侯、ロット侯爵の妻であり、今回の戦いにおいて、オクスフォード侯爵メレアガンスを裏で操っているとされている人物です。
 ケルトの古き民に伝わるまじないに詳しく、また悪魔の力も使う美貌の魔術師と言われています。
 ウーゼルのライバルであったコーンウォール公爵ゴルロイスの娘であり、ウーゼルとその息子アーサー、ひいてはイギリス王国に復讐を企てるべく、各地で暗躍しているとされています。
湖の騎士
 
ラーンス・ロット(ez0006)
[人間・男・27才]  
 ノルマン出身の、「騎士の華」と呼ばれるほどの高潔で優秀な人物。
 幼い頃、湖の城にて湖の姫と呼ばれる妖精たちに育てられたと言われており、「湖の騎士」の異名があります。
 その強さと潔癖さから、円卓の騎士第一と言われており、宮廷の貴婦人たちの口にのぼらぬ日はないとされるほどの好漢です。しかし一方で浮いた話もなく、何か道ならぬことがあるのではないかと囁かれています。
 今回はアーサーの留守を守りキャメロットに残るとの話ですが、王妃グィネヴィアに手を出したオクスフォード侯に憤りを関しているとのことです。
 
キャメロット冒険者ギルドマスター
 
グリフィス・アリストクラット(ez0017)
[エルフ・男・136才]
 イギリス王国に古くから仕える貴族の一人で、冒険者ギルドのマスターを長年勤めてきた人物でもあります。
 冒険者に理解が深い紳士的な人物であり、ギルドに問題が起きた場合は、彼の手管が発揮されることでしょう。
 聖杯探索にはギルドを挙げて協力的な姿勢を見せており、円卓の騎士からの依頼も受け付けています。一方でその暗部とも言えるゴルロイスとウーゼルの関係やアーサーの出生に関わる事件については口をつぐんでいます。
王室付近衛騎士
 
アン・ペンドラゴン(ez0126)
[人間・女・17才]
 アーサー王の妹である、王室付きの近衛騎士の一人で、主に王妃たち女性の近衛を担当しています。兄王とイギリスの平和のためなら命をかけることをいとわない、まじめな少女です。
 今回の王妃誘拐事件という姉への無礼は、彼女の怒りの琴線に触れたらしく、今回の戦いへの参加を強硬に主張しています。
 その結果、正式の騎士団ではなく冒険者ギルドのお目付け役という形で、今回の戦いに参加することとなりました。
 
 
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